第8章 ネコと一緒にひなたぼっこ【松寿丸】
暖かな陽が差す昼下がり。松寿丸は縁側でじーっと何かを見つめていた。
(どこから入ったんだ…?いや、こいつが入る隙間くらいいくらでもあるか…)
対峙しているのは、一匹の猫だった。松寿丸のあつい視線を気にした様子はなく、のん気に欠伸をしている。
(まぁ、放っておけばよいか…)
気にすることをやめたらしい。柱に背を預けて座り込んだ。すると。
「…おい」
ちょこん、と松寿丸の腹辺りに飛び乗ってきた猫が首を傾げる。そしてまた欠伸をすると、ころんと寝転がってしまった。そのまま規則正しい呼吸が流れる。
「…み、身動きが取れない…」
陽は暖かく、確かに昼寝日和ではあるが。松寿丸はしばらく自分の腹の上の猫を見つめていた。
通りがかっただけ、ならば素通りできたのだろうが、あいにく目的の人物は彼なわけで。冴はこの状況をどうしようかと悩んだ。柱に背を預けて座って寝ている松寿丸と、その腹の上で眠る猫。滅多に見れる光景ではない。
(起こすのかわいそうだよね…)
冴が松寿丸のすぐ横にしゃがんでも、どちらも起きる気配はない。じーっと眺めていると冴もなんだか眠くなってきて、松寿丸が背にしている柱に同じように体を預けていた。
「真暁、あれを見てみろ」
「なんでございましょう?…おや」
何とも微笑ましい光景に、父2人は彼らが起きるまで眺めていたという。
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お題配布元:はちみつトースト 様
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