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不羈奔放【戦国BASARA】

第6章 いつかまた逢いましょう【梵天丸】↑後




「そうだ!ちょっと、まってろ!」
何か思いついたのか、言うなり梵天丸は、己の住まいである離れの方へ駆けて行った。少しして帰ってきた梵天丸は肩で大きく息をし、右手には何かを握っていた。その右手を冴に向かって突き出す。黙ってその下に両手を差し出すと、ぽとりと何か落とされた。
「わぁ…」
それは、首から下げられるように加工した、小さな笛だった。
「もらって、いいの?」
こくんと大きく頷き、梵天丸が真っ直ぐ冴を見る。
「やくそくの、しるしだ」
「やくそくの、しるし…」
冴は嬉しそうにそれを首にかけた。紐が少々長いが、気にすることは無い。きらり、と笛が小さく光った気がした。
「どんなにかわっても、かわっていなくても、それがめじるしだからな」
「でも、冴、ぼんの〝めじるし〟もってない…」
申し訳なさそうに眉を下げると、梵天丸が首を振った。
「いいんだ。冴は、おおきくなってあいにきてくれれば。そうしたら、おれが、冴をみつけるから」
「わかった。ぜったい、ぜったいまたあいにくるから!」
真暁が、「そろそろ行くよ」と冴の手をとる。もう一言二言輝宗と交わし、真暁は歩き出した。自然に冴の足も動き出す。







冴も梵天丸も、もう言葉は交わさなかった。ただただお互いの姿が見えなくなるまで見つめ合い、そして姿を見失うと、ほぼ同時に泣き出していた。







小さな二人の、大きな別れ。






そして約束は、十数年後、果たされることとなる。







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choice 1701~1800
お題配布元:はちみつトースト 様
http://honey0toast.web.fc2.com/
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