第16章 赤井side2
でも、何かに
悩んでるのか考え事をしてるのか
うーん、うーんと唸りながら
表情をころころと変えている
その様子を眺めていると
勢いよく右手を挙げて
『はい!沖矢先生!質問です!』
と聞いてきた
どうぞ、と答えると
『沖矢先生は実は大学院生じゃなくて
悪い奴らを捕まえる為に
スパイとしてこの町に来たんですか!』
と聞かれ拍子抜けした
どういう思考回路をしたのか
中々勘の鋭い子だと感心した
いつ俺の正体がバレるのか
その時彼女はどう反応をするのか
面白い…そう思い
喉の奥で笑った
沖「…映画の見過ぎですよ」
と言えば推理を外してか
それともただの大学生だと
知ってか物凄くガッカリした様子
話を戻し彼女の安全の為、
1人での外出は避けるようにと
念を押し、元気の良い返事を頂いた
が、再び何か悩み始める彼女
あのボウヤとの仲でも
気になり始めた頃だろうか
その悩みながら
あーでも無いこーでも無いと
表情を変え続ける彼女に静かに笑った
笑ったことに気付かれて
次は少し怒った様な顔をする
『なんですか!』
沖「すいません、あまりにも
表情をころころと変えるもんですから
それが可愛くて…つい」
と、本音を言えば
照れているのか今度は
頬を赤らめながら
俺の胸を叩いてきた
か弱い力で一生懸命な彼女が
可愛くて、意地悪をしたくなる
両手首を捕まえれば
ジタバタする彼女
沖「こらこら、悪い子の
晩御飯はピーマンの肉詰めにしましょうか」
言えば動きをピタッと
止めて小さな声で
『…ごめんなさい』
と謝罪をしてきた。
その姿はしゅんっと怒られた
子犬の様で。
両手を話し、何を考えていたのか
訊ねると聞いて良いのか
何て言えばいいのか困った
様子をしたから自分から
考え事を当ててみた
沖「あのボウヤの事ですか?」
彼女は驚きたながら
頭を縦に振った
それからボウヤの正体には
気付いていると話をすれば
納得した様子の彼女
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