第15章 赤井side1
沖「さて、朝食にしましょうか
何か嫌いな食べ物とかありますか?」
『はい!ピーマンが嫌いです!』
元気よく答える彼女
一つ彼女の事を知れて
嬉しいと思う自分がいた
朝食を作りテーブルを囲み
いつアメリカに帰るのか尋ねれば
特に決めていないと言う
ホテルを探せばここを
出て行くと言う彼女に
アメリカに戻るまで
一緒に過ごしてもいいと
思わず口が勝手に喋った
だが、慌てたのは彼女の方で。
話を晒す様に俺に質問をしてくる
俺に、と言うより
沖矢昴に興味があるのか。
朝食を食べ終え
彼女と並んで食器を洗っていると
不意に女性らしい質問をされた
『彼女とかいるんですか?』
興味を示してくれている事が
少し嬉しくて
沖「気になりますか?」
つい、意地悪く
耳元で囁いてしまった
彼女は激しく動揺して
手に持っていた食器を
割ってしまい
驚いたり、慌てたり、怒ったりと
忙しなく表情を変える彼女が
面白くて喉の奥で笑った
その後、割れた食器を
片付けようとする彼女の手を止めて
俺が後片付けをした
彼女はその日、出掛けると言い
久しぶりの日本を
満喫したいんだろうと思い
家を出て行くのを見送った
その事を、後悔するとは
その時は知る由もなかった。
ボウヤから再び連絡が
届いていて、
どうやら彼女は毛利探偵事務所に
遊びに行っているらしい
だが、夕方になっても
彼女は帰ってこなくて
心配でボウヤに連絡をすれば
今帰った所、と返事が来て
安堵した
しかしいつまで経っても
帰って来ない彼女と、嫌な予感
俺は慌てて探しに出た
工藤邸から毛利探偵事務所の間
何通りかあるルートを
確認し、まさかと思い
裏路地に足を運ぶと
頭から血を流す子供の姿
服装を見れば
今朝彼女が着ていた服と全く同じで
子供の体とはサイズが合っていない
瞬時に組織の仕業で
彼女が巻き込まれたと判断した
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