第8章 だいっきらい※
沖矢さんが後片付けを
済ませてくれて
私に出来ることは無いか
ぼんやりとリビングで考えていた
うーん…
この体は不便だ
すると、ぽんっと頭の上に
何かを置かれて
上を向くと沖矢さん
沖「まだ気にしてるんですか?」
頭の上に置かれたのは
沖矢さんの手のひら
『うん、何か私に
出来る事無いかなぁ…て』
沖矢さんの顔を見上げていると
脇の下に手が伸びて来て
後ろから抱き上げられた
『ちょっ…何してるのっ!』
くるっと横向きにされて
ぎゅっと抱き寄せられる
沖「私の目の届くところに
居てくれるだけでいい」
そんな、恋人にでも言いそうなセリフを
さらっと吐きやがって…
『そんなセリフで私は
ときめいたりしないんだからなっ!』
沖矢さんは喉の奥でくくっと笑った
もー、この人に何言ってもダメだな
隙を見て私にできる事をやってるんだから
見とけよーメガネ!
『てゆうか、降ろせ!』
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なんやかんやで
その日の夜中、眠っていた私は
いつもと同じ時間帯に目を覚ました
赤井さん帰ってるのかなぁ
そう思いながら書斎へと足を運ぶ
夜の静けさが辺りを包んでいた
暗闇の廊下を抜けると
やはり書斎には灯りがついていて…
私はそーっと扉を開けた
扉を開けると
書斎の椅子に座りながら
眠っている赤井さん
赤井さんって寝るんだ…
やっぱ人の子なんだな
と、関心しながら
私は赤井さんにゆっくり近づいた
机の上のペンに手を伸ばし
それを持つと
キュポッという音を鳴らしながら
キャップを外した
はーんっ!今朝の仕返ししてやるぜー!
顔に落書きしてやるんだからっ!
私はペン先を眠っている赤井さんの
顔に近付けた
取り敢えず瞼の上に目でも書いてやろう
任せとけ!
絵はそこそこ上手い方だ!
私は笑いを堪えながら
腕を伸ばした
.