第8章 だいっきらい※
しばらくの間、リビングで
テレビを見ていると
沖矢さんが夕食が出来ましたと
呼びに来た
ダイニングとキッチンが一緒になった
広めの部屋に入ると
美味しそうな匂いに
お腹がぐぅーと鳴る
2人で向かい合わせに座り
頂きますと手を合わせてお箸を持つ
沖矢さんは料理が上手
やっぱ料理スキルを習得するくらい
暇なんだなこの人
そんな事を考えていると
ある事を思い出した
『沖矢さん!』
沖「どうしたんです?
ピーマンは入れてませんよ?」
『うん!ピーマンは
敵だからお皿という名の
陣地に侵入を許しちゃだめ!
…じゃなくて、私にも仕事を下さい!』
沖矢さんが家事全般を
さらっとやってしまうから
私がやろうとした時には
もうやる事が無くて
仕事を取られているのだ…
料理だけならまだしも
洗濯物までしなくてもいいじゃん!
自分の下着くらい
自分で洗わせてくれ!
いつのまにか綺麗に畳まれて
部屋に置かれている服と下着を
見たときの私の気持ちが分かるか!?
沖「仕事ですか?」
『せめて洗濯物くらい
私にやらせて下さい!』
沖「ああ、そうゆう事ですか」
『やっぱり同居する上で
役割分担って大事だと思います!』
沖「ですが、その身長だと
洗濯物も干せないでしょう?」
はっ…!確かに…!
物干し竿に届かない…!
『なんてこったぁ〜』
てことは…洗い物をしようにも
キッチンの高さに届かない…
『終わった…くっそー、シャンプー
なんて物を飲ませてくれたんだ…』
私はガクン、と肩を落とした
沖「ふふっ…そんなに
気にしなくていいですよ
自分の事をやるついで
みたいなものですから」
『それだと私が
何も出来ない系女子じゃん
…この姿だと
何も出来ないんだけれど…』
沖「子供は何も出来ないものです」
『中身は子供じゃないもん』
沖「いいから、私に甘えていて下さい」
そう、にこりと微笑まれて
私は何も言えなくてむすっとしながら
夕食を食べ終えた
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