第19章 赤井side5※
『あー!沖矢さんだー!』
俺の顔を見るなり
パァっと顔を明るくしながら
駆け寄ってくる
沖「こらこら、家の中で
走ってはいけませんよ」
俺の側まで来た彼女を
抱き上げ膝の上に乗せると
何の抵抗も無しに
ぎゅっと体にしがみ付いてくる
"沖矢"だからか…
『赤井さんにいっぱいいじめられたぁ』
慰めて欲しそうに言ってくる彼女に
複雑な感情を押し殺す
彼女は何かを思い出した様に
顔を上げた
『沖矢さん!赤井さんの事黙ってたでしょ!
悪い夢を見たとか言って
私の事からかってたなぁ!』
赤井の存在を隠し切りたかった。
そう思う自分と
もっと赤井という男に興味を示して
気になって追いかけて来て欲しいという
自分がいた
大きな矛盾。
ここまで俺を悩ませるとは
面白いお嬢さんだ
沖「ふふっ…すいません
…で、何をされたんですか?」
そう尋ねると彼女は
顔を真っ赤にさせて
再び俺の胸板に顔を埋めた
その表情は俺が今朝した事を
思い出しての事だと思えば
嬉しくなる
もっと色んな顔を見たい
もっと赤井の事で悩めばいい
『お、男の人って…みんな
その、えっちなこと…考えてるの…?』
純粋な彼女だから、
何も知らない彼女だからこそ
出た言葉だろう
彼女の頭を撫でながら
俺の手で汚したい、と
思ってしまった
沖「…考えてますよ
だから呉々も男性には
気をつけて下さいね?」
『わ、分かりました…』
沖「私も、その男性の中の一人ですよ?」
そう言うと、慌てて膝の上から
飛び降りて距離を置く彼女
シャワー浴びて来ると言いながら
ここから逃げ出す様に
書斎の外に出て行った
.