第3章 王太子
「待っていたぞテリオス」
「父上、建国祭のお話だと
ダリスから聞きましたが
なにか問題でも?」
玉座に悠然と座ったまま微笑みを浮かべる父親に対し
テリオスはにこりともせずに答えた
「このデシエルトが
もともとは小さな国だったことは知っているな?」
「はい勿論です」
「当時15歳だった王子が
魔法のランプを探し出し
厄災で滅びそうなデシエルトを救い
他の国に引けを取らない大国へとなったのだ」
「父上、それが建国祭と
何のつながりがあるのでしょうか?」
むかし話に熱が入りだした父に
うんざりしながら口を挟んだ
「今年は建国1000年と記念すべき年だ
そこで我が国に伝わっている
国宝を国民に披露しようと思っている」
「・・・分かりました
宝物庫に入り国民に披露する品を
私が吟味すればよろしいのですね」
「うむ、
それとテリオスいい加減に妃を・・・・・」
「要件は以上ですね
では陛下失礼いたします」
退室の挨拶を交わしクルリと踵を返しすと
待機していたシュヴァリエが扉を素早く開いた
「な~んか拍子抜けだな」
「このタイミングで宝物庫に入れるのは
ラフィネが手回ししたのだろう」
「俺はあいつの考えてること
さっぱりわかんねえけどな~」
「シヴァーは脳筋だからな」
「難しいことはラフィネに任せて
俺は体を動かすことに専念するか」
「よろしく頼む」
体力には自信があるからなと
ニカッと笑うシュヴァリエと
執務室に戻っていった