第4章 黒い宝石
「クラーロ様
もう直ぐ建国祭が終わりますよ」
リーサは耳に聞こえてきた音を聞きレイに話しかけた
建国祭のフィナーレは夜空に打ち上げる花火で締めくくられる
満月の今日夜空は明るいが綺麗に大輪の花を咲かせている
その花火が終われば王太子であるテリオスの仕事は終わる
レイの体を清め着替えを終わらすと
湯の準備の為リーサは寝室から出て行った
花火が打ち終わり辺りが静寂に包まれる
明かりが落とされた寝室のカーテンの隙間から
満月の光がベッドに眠るレイへと降り注ぐ
淡い光に包まれたレイの瞼がピクリと震え静かに瞳が開かれた
「・・・・・」
寝台から身を起こし窓に近づくとカーテンをそっと開き
レイは夜空に浮かぶ満月を見つていた
背後でカチャッと寝室の扉が開く音がした
「ただい・・・・・」
声に反応してゆっくりとレイが振り向いた
そこには見覚えのある銀色の髪と
驚き青い瞳を見開いた男がいた
「良かった・・・目が覚めたんだな」
テリオスはレイに近づきギュッと抱き締めた
「あ、なたは・・・だれ?」
困惑した声がレイの口から零れた
抱き締める腕を緩め嬉しそうに微笑みを浮かべレイを見つめる
見た目はマッドネスその者なのに
纏う雰囲気が明らかにマッドネスのそれとは違う
それにマッドネスは優しく抱き締めるような事はしたことがなかった
「もう寂しい思いはさせない必ず幸せにする
だから俺のそばに居てほしい」
許しを請うように手を掬い上げ指先に口づけを落とした
「俺の名前はテリオス・エクレール・デシエルト
俺の唯一無二の姫よ貴方の名前を
マッドネスが与えた名では無く
貴女の本当の名前を今一度俺に教えてくれ」
「・・・・・わたしの名前は・・・・・レイ」
「レイ・・・綺麗名だ
レイ今日はもう遅い眠るといい
また明日ゆっくり話そう」
寝台に導き横たえるとレイの髪を優しく撫でた
優しいその手の感触にレイは瞳を閉じ眠りについた