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ジャンルごちゃ混ぜ短編集

第1章 太陽の光のもとに鳥は飛ぶ【笛・尾形智】



そして、試合当日。対戦相手は、桜上水中。三年の多い自分たちとは違い、二年主体のチーム。未来あるチーム。だからこそ、負けられない。きょろ、とあたりを見渡しても、彼女の姿は見えなかった。だが、きてくれるとうなづいたのだから、どこか気づかないところにいるのだろう。信じて、尾形は仲間たちとフィールドへ足を踏み入れた。





フィールド全体が見渡せる場所に、羽実はいた。たまたま会場校に知り合いの教師がいたため、屋上に内緒で入らせてもらったのだ。フィールドを見つめ、大きな望遠レンズをしっかり支えながら目的の人物を探す。見つけた、とこぼしてカメラを構える。レンズ越しに見える彼は、いつもとは違う表情をしていた。強い光を放つ瞳。フィールドを駆ける姿。それは羽実の知らない尾形智だった。
フィールドを走る姿は、まるで鳥のよう。自陣に下がり守りに徹する姿は、まるで縄張りに入れまいと威嚇する獣のよう。カシャリ、カシャリとシャッター音が繰り返し鳴る。羽実は無意識にシャッターをきり、その"世界"に入り込んでいた。
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