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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第2章 初めの一振と共にその地へ足を踏み入れる




ー漆黒の鞘に金の下緒、深緑の柄が目を惹くひと振り
ー紫と白の散らし塗りが目を惹くひと振り
ー黒の鞘に柄、橙の下緒と柄に交じる白が目を惹く
ー金色でまとまり華やかさのあるひと振り
ー深紅の鞘に黒色と金の鍔が映えるひと振り



悠青は五振りの刀剣を見渡した後、その内のひと振りの前に立った。
「そちらの刀剣でよろしいですか?」
「あぁ」
深紅の鞘が瞳に映る。最も目を惹かれたのはこの刀だった。
「かしこまりました!残りの四振りも本丸にて顕現可能ですのでご安心くださいませ」
「わかった」
頷くと選んだ以外の四振りがスッと白い空間に消える。それを見送り、こんのすけは残った刀剣を見上げた。
「さぁ主様、刀剣に触れてください!」
実際、こんのすけの言葉より一瞬はやく、その手は動いていた。触れてみたい、という思いが前に出たのかもしれない。目を惹かれたこの刀剣が、どのようなカタチとなるのか。
「刀剣男士、加州清光、顕現ー」
悠青の手が触れたのはその言葉の直後だった。触れた瞬間に悠青の指先と刀剣の接点から桜吹雪が舞い上がる。悠青は、一瞬呼吸を忘れ、瞬きさえ忘れていた。桜の花びらがかたまりとなり、ふわりと重力に従い始める。はらはらと落ちゆく花びらの中に、黒と深紅が混ざっていた。花びらの量が減っていくと、それが〝人のカタチ〟であることがわかった。白い指の先には紅の彩り、その手には悠青が触れた深紅の刀。黒の髪が揺れ、白い肌が顕になる。装いは洋式で、コートの裾がひらりと揺れた。やがて桜の花びらがすべて落ちきると、刀剣のカタチをしていたものは小さく息をついて悠青を見た。
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