第2章 初めの一振と共にその地へ足を踏み入れる
目を開けると、そこは真っ白な空間だった。どこが壁なのか、どこまで続いているのかわからないほど、真っ白な空間。わかるのは、そこに確かに立っているということだけだった。
「ここは…?」
「ここで、主様に最初のひと振り目を顕現していただきます」
「刀剣男士を、顕現させるというやつか」
はい、と頷き、こんのすけはタタッと数メートル駆ける。
「主様、どうぞこちらへ」
こんのすけに促され、悠青は歩を進める。指定位置に立つと、こんのすけは悠青を見上げて説明を続けた。
「こちらに、五振りの刀剣がございます。この中からひと振りお選びいただき、顕現させてくださいませ!」
「ひと振りだけなのか?」
「はい。この場で最初に可能な顕現はひと振りだけなのです。あとは本丸…主様の本拠地につかれてからですね」
本丸、と悠青は繰り返した。本丸というと城の1部の印象だが、まさか城で過ごすことになるわけではあるまいな。ともあれまずは最初のひと振り目を顕現させることからだ。悠青がこんのすけが示す方へ向くと、どこからともなくふわりと五振りの刀剣が現れた。