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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第9章 所縁あるもの、北の地への出陣



「我こそが政宗なり!!」
「…今の、は」
「あっ、ちょ、太鼓鐘!?」
加州清光の焦り声を耳にして悠青がそちらを向く。太鼓鐘貞宗が、声がした方へと駆けて行くのが僅かに見えた。
「悠青、どうする!?」
「太鼓鐘だけにしておくわけにもいかない。行くぞ」
「了解!」
「薬研、立て続けで悪いが伊達政宗側の様子見を頼む。時間遡行軍が現れたらすぐに知らせろ」
「わかった、任せろ」
言葉を交わし、薬研藤四郎が先に駆ける。悠青もまた、太鼓鐘貞宗を追うべく駆け出した。











赤黒い稲光が、天から落ちた。
太鼓鐘貞宗は、目の前に現れた時間遡行軍と背後に庇った片倉小十郎の間で、本体を構えながら時間遡行軍相手に睨み合っていた。
「くっ、そ……っ」
顕現したばかりで初陣の短刀に、人を庇いながらの戦闘は些か厳しいものがある。勢いで飛び出したものの、それを今まさに、身に染みさせていた。そして自分よりも体躯の大きい相手によって、無惨にも吹っ飛ばされてしまった。
「お前!」
突然の見知らぬものの登場に動揺していた片倉小十郎だったが、その小柄な身体が倒れたのを見て声を張り上げる。時間遡行軍は邪魔者を排除するために、その太刀を太鼓鐘貞宗に向けて大きく振り上げた。
「っ…!」
万事休すか。太鼓鐘貞宗が奥歯を噛み締めた、その時だった。
響く鉄の鳴動があった。そして、何も痛みを感じないことに気づいた。
「大丈夫かい?貞ちゃん」
「みっちゃん…!」
声がかかって顔を上げると、そこには大きな背中。太刀の刃を受け止めた、燭台切光忠がそこに居た。
「全く、一人で勝手に行かないでよね」
「ご、ごめん…」
加州清光に手を差し伸べられ、太鼓鐘貞宗が立ち上がる。他の仲間も次々に到着した。
「何者だ!?お前達は!」
「おっと、怪しいかもしれないが俺達は伊達政宗殿を助けに来たんだ」
「何…?」
声を上げる片倉小十郎を庇うように前に立ち、鶴丸国永が告げる。怪訝そうに眉をひそめる片倉小十郎に、加州清光が続けて伝えた。
「信じられないかもだけど事実だよ。そのヘンなのは俺達に任せて」
信用性は無い。だが、助けられたのも事実であり、彼が〝ヘン〟と称したモノは、確かに尋常ではないモノであるとひと目でわかる。片倉小十郎は、意を決した。
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