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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第9章 所縁あるもの、北の地への出陣



本日、新たな刀剣が顕現された。
刀種は短剣、刀派は貞宗。
その名を、〝太鼓鐘貞宗〟

伊達家の刀剣が一振り、燭台切光忠。
彼が待ち望んだ、「貞ちゃん」であるー






太鼓鐘貞宗が顕現されたことにより、〝伊達組〟と称される面子が四人になった。大倶利伽羅、燭台切光忠、鶴丸国永、そして太鼓鐘貞宗である。太鼓鐘貞宗の顕現により、燭台切光忠は喜びに満ち溢れていた。
「本当にありがとう、主」
「お前の想いが通じたんだろう」
適当ではない。実際本丸にすでに顕現している刀剣男士達が望んだ刀剣男士が顕現されることもある。大和守安定がいい例である。
「これからよろしくな、主!」
「あぁ」
屈託の無い笑顔を見せる太鼓鐘貞宗に、いつもどこか無表情に近い悠青も穏やかな笑みを浮かべるのであった。






太鼓鐘貞宗顕現から数日。持ち前の明るさと裏表の無い屈託さで太鼓鐘貞宗が本丸に馴染むのははやかった。伊達組や他の短刀達と手合わせし、練度の上がりも上々である。
そんな中、悠青は執務室で〝予知〟をしていた。霊力が機器に流れ込み、渦巻き、時を刻んで行く。現れた時と場所を目にして、悠青は僅かに眉をひそめた。
「まだ早い気はする、が…」
そしてしばし思案。だがやがて意を決すると、隣室に待機していた加州清光を呼んだ。
「出陣だ。面子を集めてくれ」
手渡された隊員表を手に、加州清光は各々の元へ向かった。






執務室へと呼ばれた六振りは、主の前に並んで座した。その中には顕現したばかりの太鼓鐘貞宗の姿もある。彼らを見渡し、悠青はその名を紡ぎ始めた。
「隊長、打刀、加州清光」
「はーい」
いつもの調子で加州清光が返事をする。
「以下、短刀、薬研藤四郎」
「おう」
「打刀、大倶利伽羅」
「…あぁ」
「太刀、燭台切光忠」
「あぁ、皆をちゃんと支えてみせるよ」
「太刀、鶴丸国永」
「任せておけ」
最後に悠青は、真っ直ぐ、しっかりと太鼓鐘貞宗を見た。目が合い、太鼓鐘貞宗が背筋を伸ばす。
「短刀、太鼓鐘貞宗」
「おうっ!」
はっきりとした返事に満足そう悠青は頷く。そして再度一同を見渡した。
「時は、1581年」
一拍置く。皆が、姿勢を正して次の言葉を待った。
「場所は……奥州だ」
ゆるりと二名の目が見開かれ、二名も僅かながらに反応を示した。
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