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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第8章 兄という存在



弟達を部屋へ帰し、再び悠青と加州清光と一期一振の三人だけになる。
「弟達の事をよくわかっているんだな」
「兄ですからな」
当然のように返ってきた言葉に、「兄、か」と悠青は呟いた。
「確かに、兄ってのはそういうもんだよな」
「もしや主も兄なのですか」
「あぁ、俺には妹がいるんだ。今は、離れてしまっているがな」
苦笑して言えば、一期一振は「私と同じですな」と口にした。
「いえ、私はすでに弟達に逢えておりますが…」
「数が違いすぎるだろう」
「…そうですな」
これには一期一振も苦笑をこぼす。
「よくお兄ちゃんお兄ちゃんって言ってくる甘えただが…居なければ居ないでさみしいもんだ」
「…審神者になったこと、後悔してる?」
不意に訊いたのは加州清光だった。その問いに悠青は目を瞬かせ、「まさか」と答える。
「これは俺が選んだ事だ。後悔はしていない」
「ほんとに?審神者になったから、妹さんにも会えなくなってるんだよ?」
「…どうしたんだ?清」
不安そうに言う加州清光の様子に怪訝そうに眉をひそめる。
「だって…愛する人と離れるの、さみしいでしょ?」
「…それはまぁそうだが、だからと言って審神者になった事を後悔するなんてことはない。大変なことも多々あるが、お前達に出逢えて良かったとも思っているしな」
「…ほんと?」
「あぁ、本当だ」
「…そっか、なら良かった」
へへ、と笑う加州清光に悠青は首を傾げる。一期一振はというと、うんうんとなぜか頷いていた。
「兄ですなぁ」
「…今のは兄だったか?」
「はい。納得するように促す、立派な兄でございました」
そうなのか。はい。
そんな会話を交わす、兄達であった。

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