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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第6章 浅葱色の相棒


悠青が加州清光を「清」と呼ぶようになると、加州清光も悠青を名で呼ぶようになった。他の刀剣男士達もまた同様に愛称で呼ばれたり、名で呼んだりしているもの達もいる。男士の数も増え、合戦場や遠征、内番もこなせるようになってきた。
「ここも賑やかになってきたよねー」
「そうだな」
「あとはあいつがいれば…」
あいつ、と言った加州清光の顔が僅かに曇る。その変化を見逃さず、悠青は「あいつ?」と問いかけた。すると加州清光はバツが悪そうに「あー…」と声を漏らす。
「えっ、と…俺と同じ沖田総司の打刀で、大和守安定、ってやつ…」
「大和守安定、か」
悠青は顎に手をやりしばし考える。今日は鍛刀の予定は無かったが、依頼札に余裕はあったはずだ。
「試してみるか」
「え?」
歩き出した悠青の後を加州清光が慌てて追いかける。追いついた加州清光に、悠青は顔だけ振り向いて言った。
「大和守安定の配合を」







鍛刀場に着くなり、悠青は資材置き場に資材を置いていく。鍛刀の精に配合で予測してもらい、打刀だと判明した。頷いて託すと、まだ戸惑いが残る加州清光を連れて鍛刀場を後にする。
「ちょっ、ちょっと悠青!」
「なんだ?」
「なんだって…それはこっちが聞きたいよ」
「お前が言ったんだろう?大和守安定がいればって」
「そうだけど、でも、他にも会いたい仲間がいるやつはたくさんいるのに」
俺だけ、と加州清光は気まずそうに顔をそらす。確かに、待ちわびている刀が多くいるのは確かだ。自分だけ願いをきいてもらうのは、と戸惑っているのだろう。
「大和守安定がくるとは限らないだろ」
「それは、そうだけど…でも今日は鍛刀予定もなかったのに」
「いいんだよ、俺がそうしたかったんだから」
ぽん、と頭に手を置かれると何も言えなくなる。打刀の鍛刀時間は1時間半。大和守安定が来るかも、新しい刀が来るかもわからない。既にいる刀剣のふたふりめかもしれない。今はただ、新たな刀の登場を待ちわびた。
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