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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第5章 初出陣ー本能寺の変


不意に妙な気配を感じ、一同は足を止めた。シンと静まり返る近辺、遠くにきこえる喧騒。その中に、今まで感じたことのない気配。それはヒトのものあらず。異形の感覚。
「…来る」
悠青の呟きと同時に刀剣男士達が己の本体を鞘から引き抜く。悠青も名も無き刀剣を構え、前を見据えた。木々と茂みの奥からゆらりと揺れる影が幾数。それは人のカタチをしているものもいれば、宙に浮く魚のようなものもいた。それぞれに刃を構えている。
「こいつらが時間遡行軍か」
チャキ、と和泉守兼定が切っ先をヤツらへと向ける。キ、と何かが鳴くような音がした。途端、宙に浮いたモノが短刀を突きつけるように飛びこんできた。キンッ、と和泉守兼定が弾き、それが開戦の合図となった。鋼がこすれ弾き合う音が鳴り響く。音だけきけばここでも織田と明智が戦っているかの様な音だ。刀剣男子と時間遡行軍が斬り結び、悠青もまた斬りかかってくるヤツらを蹴散らしていった。だがヤツらは数が多く、湧いて出るかのように増え続ける。悠青にも刀剣男士達にも、疲れが見え始めていた。
(どうすれば、ここを切り抜けられる?)
こうしている間にも、他の時間遡行軍が明智光秀の元へ向かっているかもしれない。そう考えると気が気ではなかった。悠青は苛立たしそうにひとつ舌打ちをつくと、前方に立つ和泉守兼定と堀川国広、前田藤四郎に声をかけた。
「和泉守、堀川、前田、ここを頼めるか?」
「あぁ!?」
「ここばかりに時間を割くわけにはいかない。明智光秀を捜す方にも手を割くべきだ」
「それはそうだけどよ!」
まだ幾数もの影がある。これを3人で相手するのは至難の技だ。だが和泉守兼定は「あーあーあぁ!」と声を上げると、背筋をのばして身構え直した。
「わぁった!ここは俺達に任せて行け!」
「はい、任せてください!」
「主君の命のために」
「頼む!」
悠青の言葉の直後、3人が駆け出した。それとは別の方向に、悠青と加州清光、歌仙兼定、小夜左文字は走り出す。目指すは本能寺の敷地内だ。
「!」
走っている最中、小夜左文字が急に顔を上に上げた。何だ、と見上げてみれば、振り下ろされる刃。
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