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刀剣乱舞/天青 【刀剣乱舞】

第5章 初出陣ー本能寺の変


数秒だったのか数分だったのか、自然と目を開けると、薄い暗がりが広がっていた。少し遠くで松明が揺れる灯りがある。目視できるところに本能寺の塀が見てとれた。前田藤四郎と小夜左文字に偵察に行かせ、大まかな位置取りを把握する。任務内容は至ってシンプルだ。ここで織田信長は死ぬ。となれば時間遡行軍の目論見は、織田信長を生かすこと。つまりは明智光秀を狙ってくるはずだ。明智光秀を時間遡行軍から守る事が、此度の任務となる。
「…この場に織田信長が所持していた刀がいたらどう思ったんだろうな」
「主?」
「思わないか?例えばお前なら…池田屋事件とかな」
「っ」
加州清光が、堀川国広が、和泉守兼定が息を飲んだ。情景を“思い出し”、目を伏せる。ひとつ深呼吸をして口を開いたのは、加州清光だった。
「どうもしないよ。俺の今の主は、主だもん」
真っ直ぐな赤い瞳。その目に偽りは無かった。
「…そうか。悪い、妙な事を訊いた」
「んーん、いいよ」
ぽん、と加州清光がその背を叩く。やがて、どこからともなく喧騒がきこえてきた。塀の奥には松明以上の赤い火が見える。
「始まったな」
「そのようだね」
歌仙兼定が頷く。皆、いつでも戦闘に入れるように気を引き締めた。
「行くぞ」
目指すは明智光秀、そして時間遡行軍のいる場所。和泉守兼定、堀川国広を先頭に、一行は燃え盛る本能寺へと駆け出した。
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