第4章 最初の鍛刀
昼餉を終えると、悠青と加州清光はこんのすけにある場所に連れられていた。中に入ってみれば火のついた炉や金床があり、ここが鍛治場であることが見てとれた。だが刀剣男士は刀とはいえ人のカタチをしており、打ち直しや研ぎ直しは必要ないはず。疑問に思いながら悠青はこんのすけに問いかけた。
「こんのすけ、ここは?」
「はい。ここは鍛刀場でございます」
「鍛刀場?」
ということはやはり鍛治場ということなのか。悠青の言葉にまた頷き、こんのすけは続ける。
「資材を使うことで、イチから刀剣男士を生み出すことが可能なのです。できあがった刀剣に主様が力を与えてくだされば、顕現させられます」
「他の刀剣男士は、そうやって顕現させるのか?」
「はい。その他に、出陣先で刀剣を発見し、持ち帰って主様が力を与えてくださることで顕現させられます」
「刀剣男士を増やすには二通りあるということか」
「はい、そうです」
なるほど、と悠青は腕を組んだ。そしてじっと金床を見つめ、眉を寄せてこんのすけを見る。
「…誰が打つんだ?」
「そこはご心配なく!審神者のおわす本丸には、鍛治場の精が宿っていますので」
「鍛治場の精?」
聞き返したのは加州清光だった。
「はい。他にも手入れの精がおります。刀剣男士が傷を負った際に専門技術で治療致します」
「やっぱ悠青みたいな普通の人間とは違うのかな?俺ら」
「そうですね、元は刀剣ですので、多少は違うのかもしれません」
「曖昧だな」
悠青が言うと、こんのすけは少しうなだれて「すみません」と返した。
「まだわからないことも多いものですから…」
「あぁ、いや、責めたわけじゃない。わからないならわからないで、それがこっちもわかっていればいいんだ」
「はい…」
「で?鍛刀ってのはどうやってやるの?」
話を戻すように加州清光がきくと、こんのすけは「はい」と声を上げて炉の方へ数歩足を進めた。
「みなさん、主様がお出でです。鍛刀のご準備をお願いします!」