第3章 力量をはかる
「…」
加州清光は数秒ぽかんと目の前の木刀を見つめていたが、やがて大きくため息をつきながら全身の力を抜いた。
「うげー、主強すぎ。俺いらないんじゃないの?」
「まさか。言っただろう?俺の剣は実戦では使えないと。それにお前は人の姿になって初めて剣を振るったんだ。まだまだ強くなるだろう」
だから、言いながら悠青はしゃがみ込んだ。
「頼りにしているからな、清光」
「…はーい」
頼りの言葉をかけられ、頭を撫でられ、加州清光は照れくさそうに顔を背けて返事をした。満足そうに頷いた悠青は「さて」と立ち上がり、ひとのびする。
「汗を流して昼飯の献立を考えるか…」
「俺も作る!」
ぱっと起き上がって駆け寄ってくる清光に悠青は小さく笑みを向けた。二人と一匹が道場をあとにする。先ほどまで熱気のあった道場はシンと静まり返り、格子の間から陽の光が差し込んでいた。