第3章 力量をはかる
部屋にあった道着に着替えて道場へ行くと、昨日出会った時と同じ格好をし木刀を手にした加州清光が待っていた。あれが戦闘服ということなのだろう。
「その格好も似合うね、主」
「そりゃどーも」
答えながら、壁にかけてある木刀をひとつ手にする。ブンッとひとふりしてみれば、物がいいのかよく手に馴染む感覚があった。
「んじゃ、始めよっかー」
行って加州清光が木刀を構える。悠青も軽く筋を伸ばした後、彼に向かって構えた。シン、と道場内が静まり返る。こんのすけがいつの間にか来ていたが、二人とも集中していて気がつかなかった。静かな空間の中、ズッと先に足を床に滑らせ、動いたのは加州清光の方だった。瞬発的な猛スピードで悠青へと駆け、そのまま木刀を振り切ろうと腕を引く。
「っ、はぁっ!」
そして思い切り振り抜こうとしたが、重い木のぶつかり合う音が響き、悠青はその一撃を受け止めた。ギリ、と木刀同士が小さく競り合う。
(思ったより、重い)
相手は青少年の姿で、体格では自分の方が勝っている。だがそれをもろともしないくらいに、加州清光の剣撃は重かった。
(刀剣男士、打刀だろうと侮るべからず、か)
ぐ、と握りを込め直す。ギリキリとせめぎあったまま、徐々に徐々に、悠青が押し返していく。それに負けじと加州清光も押しを強める。それを確認し、悠青は一気に力を抜いて刃を引いた。
「わっ!?」
押し合う相手が急にいなくなり、加州清光の体勢が崩れる。横にずれてそれを交わし、加州清光が体勢を立て直そうとする前に足払いをかけ、床に転がした。トン、と眼前に刃を立ててやれば、勝負ありだ。