第3章 力量をはかる
食事を並べ、席に着く。悠青と加州清光が向かい合い、加州清光の隣にこんのすけだ。悠青が「いただきます」と手を合わせると、加州清光もぎこちなく「いただきます」と手を合わせた。そして悠青が味噌汁を口にするのを真似て、加州清光も椀を口元へ運ぶ。香り高い味噌が鼻をくすぐり、じんわりあたたかい味噌が舌に染みた。初めての感覚に加州清光の気が高ぶる。その表情を満足そうに見て、悠青は続けて箸を進めた。加州清光もまた初めて感じる〝味覚〟〝嗅覚〟というものを、存分に堪能していったのだった。
「はぁー、おいしかったぁ。ご飯ってこんなに美味しいものだったんだね」
「江戸時代後期の食事と似たものを、と思ったわけじゃないが、それと似たようなものにはなったかもな」
言って食後の茶をすする悠青を、加州清光がぱちくりと見つめる。どうして自分が江戸時代後期にあった刀だと知っているのか、という顔だった。