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三國の世、戦乱を生きた者達【真・三國無双】

第2章 天を掴もうとした手は最期まで【鍾会 夢】


成都は混乱の渦中だった。だがその中でも彼らの行動を予期していた者達がいたようで、彼らの前に立ち塞がり、言葉を、武器を交えていた。それは茜葎花も例外ではなく、鍾会と別行動をとっていた彼女の前には、鄧艾が立ち塞がっていた。
「茜葎花殿、何故です。何故この様な事を!」
「答えは決まっております。士季様の望むまま、彼の方の道を、進んでいただくためでございます」
鄧艾の訴えに、茜葎花は臆することなく凛とした声でこたえる。
「それが、間違った道でもですか」
「…それが正の道かなど、誰が決めるのでしょう。私はただ彼の方の為に、彼の方の為だけに刃を振るうのみでございます。愛する、彼の方の為だけに」
茜葎花が大鎌を引く。いつでも振り抜けるようにと。
「茜葎花殿…っ」
なんとしてでも止めたい。その思いをぶつけるように鄧艾は彼女の名を呼ぶ。だが茜葎花は、軽く目を細めて、わずかに、笑みを浮かべた。
「…それに…これが間違っている事ならば、鄧艾殿方が、止めてくださいますでしょう?」
その表情、その言葉に、鄧艾ははっと目を見開いた。
(わかっていながら、この人は鍾会殿の為に…)
ぎゅ、と柄を握る手に力がこもる。
「わかりました。ならば、全力でおとめします!」
その覚悟を受け止め、茜葎花と鄧艾の、全ての力のぶつけ合いが始まった。

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