• テキストサイズ

山桜【刀剣乱舞】

第4章 帰らぬ人



『と、虎っ!?』

「ご、ごめんなさい!!」


あわあわとする白い子は確か五虎退という名前だったはず。
私は五虎退に微笑みながら言った。


『別に大丈夫だよ。触っても良い?』

「え。は、はい」


五虎退に了承を得たとこで、足元に視線を戻す。
小さな虎は不思議そうにこちらを見上げている。

可愛い…。

そっと手を伸ばすと、虎もそっと近付き私の手に頭を擦り付けてきた。


『グハッ!!』


にやける口元を抑える。


「大丈夫ですか!?あるじさま!!」

『う、うん!大丈夫!気にしないで!』


一匹を撫でくり回していると、次から次へと小さな虎が寄ってきた。
私の周りはあっという間に小さな虎に囲まれた。
これぞハーレム。最高過ぎる。


『フフフフフ…』

「主君、なんか怖いです」


隣に座る秋田藤四郎がそう溢す。


『えー、そう?フフフ』

「気にするな秋田。大将はそういう人だ」

『ちょーと薬研。そういう人って、どういう人よ』

「そういう人は、そういう人だ」


薬研はクックッと笑いを堪える。

とうとう薬研にいじられるようになるとは。まあ、これも少しは信頼を築けてるということかな。

嬉しくて私も笑みを溢す。


「こら、君達!食事中にふざけない!!」


遠くのテーブルからは歌仙の怒りの声が聞こえてきた。



◯◯◯



朝餉が終わり、私は今日の当番を発表していた。


『次は、今日の近侍です!えーと、鶴丸国永さん。よろしくお願いします。てことで…』


鶴丸の名を挙げた途端、この場がどよめいた。
それと同時に誰かが私の言葉を制する。


「おい!!俺があんたの近侍ってどういう事だ!!!」

『どうかしましたか?鶴丸さん』


どすどすと音を立てて近づく鶴丸さん。
私の目の前まで来ると、ピタリと足を止めた。


「どうしたも、こうしたもない!!誰の入れ知恵だ…伽羅坊か?」

『い、いえ!大倶利伽羅さんは関係ありません。私が考えた事です。この方が鶴丸さんと少しは仲良くなれると思ったので』

「誰が、"審神者"のあんたなんかと…」


突然襟を強く掴まれた。
これには流石の私も驚いた。


「鶴丸!何をやっている!!主に掴み掛かるとは…!!」

/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp