第3章 蔵
私が指を指した先に、キラリと金色に光る物があった。
近くに寄るとそれは無造作に置かれた刀で、光ったのは刀の鐔だった。
「大典太さん!!」
そう言って前田は大典太さんと呼んだ刀に駆け寄った。
この刀が大典太光世さん…
前田が大典太さんを重たそうに抱え一旦外に出る。
「主君…」
『うん』
私は大典太さんに触れてみる。しかし何も起こらず、ただ静けさが残った。
『あ、あれ?!顕現ってこうじゃなかったっけ?!』
顕現は触れるだけで済む筈だが、何も反応が無かった大典太に私は戸惑った。
こんのすけも頭を捻る。
「可笑しいですねぇ。確かその方法で顕現できる筈なのですが」
「大典太さんとお話、出来ないんですか…?」
「んん、これは俺っちにも分からねぇなぁ」
「…俺も分からない」
結局顕現出来ない理由は誰にも分からず、取り敢えず大典太も一緒に本丸へ帰ることになった。
大典太さんは山姥切さんが持ち、薬研と前田、こんのすけ、私はその隣を歩く。
私は疲れと眠気からその足取りは段々と遅くなっていた。大きな欠伸を一つ。
部屋に着いたらちょっと寝ようかなー…
そう考えながら歩いていると、何故か右足を着いた所に地面がなかった。身体が自然と傾く。
景色がスローモーションで進む中、私は地面の中に吸い込まれていく。
『ぎゃ!!!?』
鈍い音と衝撃と共に地面に落ちる。上からパラパラと土が落ちてきた。
痛む身体を起こし上を見上げると、だいぶ深い所まで落ちたことが分かった。
これはどう考えたって…
『おと…しあな?』
立ち上がろうとしたその時、右足首に痛みを感じまたしゃがんだ。
すると上から声が聞こえてきた。それに廉が応えると、上から顔が次々と現れた。
「!!大将、大丈夫か!!?」
「主君…!!」
「主様!!何故穴に…」
それは私が聞きたい。何で穴がこんなところにあるのか。
それに落ちる私も、運が悪いな。
『あはは、なんか落ちちゃった。右足もっ、痛めたみたい』
「今助ける」