第3章 蔵
バリッ!!!
斧は錠の僅か上で静止した。ビリビリと全身に伝わる衝撃。
それを押し返すように、斧伝いに霊力を流し込む。
しかし錠の守りによって呆気なく跳ね返されてしまった。
『…っと』
「…主様!!」
こんのすけが驚いた声を上げるが、それに私は大丈夫と言ってまた斧を構えた。
ぶんっ!!!
斧を勢い良く振り下ろす。
斧が錠とぶつかる間際でまた派手な音を立て、衝撃が伝わってくる。それを霊力で押し返すが、錠は破壊されずまた押し返された。
『っ…まだ!!』
ぶんっ!!!
廉はもう一度斧を振るった。しかしまた押し返される。
『…っ…もう、一回!!』
と、もう一度斧を振るったがまた呆気なく跳ね返された。
私は負けじとその後も何度も斧を振るった。段々と全身の怠さが増し息が切れ切れになっていく。
「おいもう止めろ!!」
また斧を構えようとしたその時、山姥切が声を荒げて廉の腕を掴んだ。
「死ぬ気かあんた!!?前田を見ろ、怯えてる!!」
「主君。もうっ、良いです。これ以上は主君が…!」
振り返ると目に涙を浮かべる前田がいた。山姥切さんも目付きは鋭いが不安が見てとれた。
「無茶はしないと約束したろ大将!」
薬研も眉間に皺を寄せ不安そうな顔をした。
私だって皆にこんな顔をさせたかった訳じゃない。だけど、助けると約束したから。
『うん。でも大典太さんを助けるとも…約束したから』
「そうだが、今大将が無理して助けることないだろ!?」
『……それは嫌だ』
ハッキリと言い放った言葉に薬研達は眼を丸くした。
『だって今、目の前で大典太さんが閉じ込められてるんだよ?それに次で開く気がする…!!』
「あんた、なんでそこまで」
私の腕を掴む山姥切さんの手の力が弱まった。
唖然としている山姥切さん達に柔らかく笑い掛ける。
『なんでって。そりゃあ、私がこの本丸の"主"だからですよ!皆さんは家族も同然!
私が好きな漫画にも出てきます。自分の言葉は曲げない!だから、私も助けると言ったからには絶対助けます!!』
「だが、あんたが倒れたら元も子も無いだろ!」
一度は弱まった山姥切さんの手が強く握られる。
その真剣な表情に私も絶対に助けたい、という気持ちで見詰め返した。