第3章 蔵
「おぉい、大丈夫か?」
『すみばせん…!!』
そう顔を上げて言うと、兼さんの顔が意外にも近くて驚く。
それは兼さんも同じだったようで、目が合うとバッと距離を取った。耳を真っ赤にさせて。
「兼さん、耳赤いけどどうしたの?」
『!!』
堀川君!あまり深くはツッコまないで!!
「べ、別になんでもねぇ!!」
兼さん動揺しているのがバレバレですよ!
心の中で騒ぐ私は平穏を装い食事を続けた。
「なんか、ますます怪しいな」
「あ?そうか?」
だから、鋭すぎですって御手杵さん!!
陸奥守は長谷部の"その後"というワードに食い付き問い詰める。
堀川も和泉守に察したように笑い掛けそれを否定する和泉守。
怪しむ御手杵に、一貫して興味のない同田貫。
そして頭を抱える私。朝からカオスな状況である。
「君達!!今は朝餉の時間なんだ!!!早く食べないと料理が冷めてしまうだろう!!」
とうとう歌仙の雷が落ちた。
◯◯◯
朝餉を無事食べ終わり、私は食器の片付けを手伝った。
それが終わると、今度は今日の当番決めをすることになった。昨日に比べ動ける人が多くなったため、手入れが済んでいる人達の中からくじ引きで当番を決める。
結果…
〈畑当番〉
陸奥守吉行
獅子王
〈馬当番〉
御手杵
骨喰藤四郎
〈洗濯〉
宗三左文字
乱藤四郎
〈料理〉
歌仙兼定
へし切り長谷部
〈近侍〉
山姥切国広
という感じになった。
今日は山姥切国広さんが近侍。
名前と顔がまだ全員一致してないからどんな人だったか覚えてない。
まぁ、大丈夫だと思うけど。
そんなこんなで皆とは別行動を取ることになり、私はこんのすけが山姥切さんを連れて来てくれるのを待った。
ものの数分もしない内に、こんのすけが白い布の端を咥えてやって来た。
「おい、離せ!!写の俺なんかに近侍が務まるわけない!!」
「モゴモゴコゴゴ」
「だから離せ!何を言っているのかさっぱりだ!!」
あ!!あの人って!!
『昨日の綺麗な人!!』
「綺麗とか言うな!!!」
そう今日の近侍は、昨日あの布踏んづけ金髪のイケメンだと判明した山姥切国広だった。
手入れの時は手入れに夢中過ぎて気にならなかったけど、何で布なんか被ってるんだろう。深くは追及しないけど。