第2章 おはなし
主に返事を返して、部屋の中に入ってきた主と向かい合う形で座った。主は湯浴みを終えた後のようで、寝間着姿だった。
「主、このような時間にお呼びたてして申し訳ありません。実は、この本丸の…」
「あぁ、ルールの事だろう?」
「…はい」
「お前もか…」
主の言い方に俺は違和感を覚えた。俺以外にも"るーる"について主と話をしたやつが居たような口ぶりだ。
それが誰なのかも気になったが、今は主と話し合う事が第一だ。
「主、俺はこの本丸のるーると言うのは…」
俺は主と面を向かって自分が思った事を話した。俺が話終えると、部屋は沈黙に包まれる。
すると突然主は吹き出して高らかに笑った。俺は訳が分からず、戸惑う事しか出来なかった。
「あ、主?」
「ククっ!そうかそうか、お前もそう思うか!!」
「分かって下さっ…」
「だが、駄目だ」
主の冷たい眼が俺の背筋を凍らせた。
「お前の言いたい事は分かった。が、この本丸は俺のものだ。つまり俺がルール。お前達は俺が使いたいように使う。
所詮お前達刀は道具なんだよ。お前達が折れても、代わりは幾らでも造れる。だから一々手入れなんてしてたら、俺が疲れるだろうが」
例えるなら頭を鈍器で殴られたような感覚が頭を突き抜けた。グラグラと視界が揺れる。
これが主?本当に主なのか?
初めて会った当初とは違い、優しい表情が一切ない主。俺は目の前に居る人物が本物の主なのかと疑ってしまうほど、頭の中は混乱していた。
「…と言うわけだ、この本丸のルールは変えない。話はこれで終いだ。だが、本題はここから…」
「……」
主がまた口の端を持ち上げ、ゆっくり立ち上がる。そして俺の前に立ちはだかり、まだ頭が混乱の中にいる俺に黒い影を落とした。
◯◯◯
「……っ、それからと言うもの俺は仲間と共に時間遡行軍と戦い傷を負い続け、ある時には、主に身体を求められる時もありました。
でも俺達は主に顕現された身、反論は出来ませんでした」
長谷部の声がかすれる。
「そんな毎日を繰り返して行く内に、俺は生まれてきた理由が分からなくなった。
何でこんなに傷ついて苦しんで、俺達は何のために生きているのか。こんな思いをした先に何があるのか……」