第2章 おはなし
よし!食べたら報告書の続きだ!!
そう意気込んでパクパクと親子丼を食べ進めていると、目の前に一つのコップが差し出された。
「おまさんも一杯飲まんか?」
『えっと、私未成年なのでお酒はちょっと…』
「そうながか?残念じゃのー」
『ぅ、すみません』
断った途端落ち込む陸奥守さんに罪悪感が押し寄せる。
「おい陸奥守!あまり主を困らせるんじゃない!」
「わしがいつ、主を困らせたちや!」
「君達!食事の場で喧嘩は止めないか!」
「喧嘩などしておらん!」
「喧嘩らぁてしちゃーせん!」
目の前で急に長谷部さんと陸奥守さんの言い合いが始まり、私は呆気に取られてしまった。
でもまぁ、喧嘩するほど仲が良いと言うし止めなくても良いか。
と思い、私はふと辺りを見回した。この大広間で賑やかなのは此処だけで、他はどこも静かに食事をしていた。
いつか此処にいる皆と仲良くなれたら良いなぁ。そうすればもっと楽しい食事になるのに。
「主様如何されましたか?」
『ううん、何でもない!』
こんのすけに声を掛けられハッとする。
私はこんのすけに笑みを返して親子丼を食べ進めた。
他の皆より早く食べ終わった私はご馳走様でしたと言って席を立った。
「主!もう席を立たれるのですか?なら俺も…」
『いえいえ。長谷部さんはゆっくり食べてて下さい!』
「…そう、ですか」
「では私も」
こんのすけも夕餉を食べ終えたようなのでこんのすけの分の皿も持ち厨に向かった。
厨に着くと私は持っていた皿を流し台に置く。
『…っ!』
すると一気に身体を支える力が無くなってしまい、私はその場にしゃがみこんだ。
「主様!如何されましたか!?」
『あはは…何か一気に身体の力が抜けちゃった。緊張してたからかな?』
「……主様」
「主!一体どうしたんだい!?」
『歌仙さん』
後ろを振り返るとそこには歌仙さんが立っていた。歌仙は駆け寄って来ると私の側にしゃがみこみ、私を近くにあった椅子に座らせてくれた。
『すみません、ありがとうございます』
「あぁ。君達のお皿は僕が洗っておくから、君はもう休んだ方が良い」
私はもう一度歌仙さんに"ありがとうございます"と言って立ち上がった。