第2章 おはなし
…っ、これくらいで弱気になったら駄目だ!私は審神者なんだから!!
『えーと、はいっ!私の話はこれで終わりです!折角作ってくれた料理が冷めちゃいますし、頂きましょう!!』
これで良かったのかと御手杵さん達に目を向ける。
二人からグッとサインを貰うと私はほっと胸を撫で下ろした。
他の人達は不満があるのかどよめいていた…
私は皆の視線から逃れるように空いていた端の方の席に足を向けた。
「すまねぇ大将。俺っちは兄弟達の所に…」
『そっか、分かった!』
少し寂しく感じたが、兄弟の為じゃしょうがない。その薬研の兄弟の方に目を向けると、小さい子達と目があった。しかし直ぐに反らされてしまった。
小さい子に目を反らされると、よりショックだ。
「俺達はあっちの方に座ろうぜ」
『あぁ、はい!』
御手杵の後に続いて空いていた席に向かう途中、何か布のようなものを踏みつけてしまった。
「っお」
視線を下に向けると私が踏んだのは白い布だった。
その布の先を目で辿って行くと、綺麗な金髪の人が羽織っていた。
『わっ…す、すみません!!』
私は慌てて足を退け謝った。するとその布を羽織っている人が振り向いた。
金髪から覗く、青い瞳。それがとても綺麗で私はつい見とれてしまった。
「何をじろじろと見ている」
『すみません!その…』
「おんしゃあ、何しちゅー!早うせんと料理が冷めてしまうちや!」
『あ、はい!』
陸奥守さんに呼ばれ、私は金髪の人にもう一度すみませんと言うと呼ばれた方に向かった。
空いていた席は御手杵さんとたぬきさんの間。そして目の前には美味しそうな親子丼!
『頂きまーす!』
空腹だった私は即座に親子丼を口に運んだ。味は勿論最高に美味しい。
『美味しいです!歌仙さん!』
目の前に座っていた歌仙さんにそう伝えると、歌仙さんは嬉しそうに笑った。
「君の口に合って良かったよ」
「ハハッ!来る時あんなに嫌がってたのに、あんた良く食うなぁ」
『そりゃあ、頭使ったのでお腹は減ってます!』
私の隣で御手杵さんは"何だそれ"とケラケラと笑った。