第2章 おはなし
こんのすけのキラキラとした視線に押し負け、一度仕事服を着てみることになった。
薬研には部屋から出てもらって、こんのすけの指示で順々に着ていく。
『できた!』
「はい!初めてにしては上出来だと思います!!」
こんのすけにお褒めの言葉を頂き、私は部屋の外で待っている薬研に声を掛けた。
『薬研、終わったよ』
「おぉ!良いんじゃないか?」
私は薬研に誉められ、照れくさげに小さく笑う。
すると薬研は部屋に置いてある、私の荷物に興味を示した。
「凄い量の荷物だな」
『あはは、服とかもあるけど、殆どは漫画かなぁ』
そう言って適当に1つ荷物を開ける。
「これ全部読んだのか?」
『ほとんどはね。どっかにまだ読んでないやつもある』
「漫画かぁ。興味深いな」
薬研は漫画を手にとってペラペラと捲った。
「そうだ大将。これだけ書物があるなら本棚も要るよな?」
『え!?うん、欲しい!』
「そうか、それなら"書庫"に使ってないやつがある」
『書庫?』
何だその魅力的なワードは!!
期待に膨らむ私だったが、薬研の解答はそれとは違うものだった。
「俺達が出陣して任務を終えた後に、出陣先での事を報告しないといけないないんだ。
それで、その時に作る報告書を保管してある部屋だ」
『報告書…』
そう言えば、昨日そんなような説明をされたような。
審神者の仕事に早くも頭を悩ませる私の隣で、急にこんのすけが大声を上げた。驚いた薬研と私は、思わず肩をビクつかせた。
「主様!政府からの伝言を忘れていました!!」
『えぇ!?政府から!!』
何故そんな重要な伝言を忘れるのか。
こんのすけから恐る恐るその伝言を聞くと、その内容は報告書の事だった。
「此処に来られたのが、昨日ですから…昨日の分と今日の分の報告書を書いて欲しいとのことです」
『えぇー…』
「そ、其ほど難しく御座いませんよ!その日にあったことを書けば良いだけですから!」
『それが難しいんだよな』
こんのすけに背中を押され、薬研と一緒に部屋を少し片付けると私は机の前に向かった。