第2章 おはなし
薬研が"大将はここだ"と空いていた陸奥守さんと薬研の間の席を叩く。私は誘われた席に腰を下ろした。
目の前には美味しそうなおにぎりや味噌汁が並んでいる。たまらず私は手を合わせた。
『頂きまーす!!』
先ずはおにぎり。あ、梅干しだ!
味噌汁も美味しい。
お皿に山積みにあったおにぎりは、次々と皆の口の中に吸い込まれていく。こんちゃん用の歌仙さん特製のお稲荷は既に無くなっていた。
「主様、今日は何をなさいますか?」
こんのすけがぺろりと口周りの油を舐めとり尋ねた。
周りの皆は口をモグモグとさせながら目を向ける。
『また手入れの続きをしようかなって。あっ、勿論無理はしないようにします』
と言って、皆の様子を見る。すると隣にいる陸奥守さんが言った。
「よっしゃ!そういうこったらわしが、主が無理せんよう見ちょくよ!」
「いや、ここはこの俺が主の近侍を勤める」
「近侍だったら俺っちも立候補するぜ」
長谷部と薬研が加わり、話が誰が近侍になるかにすり変わってる。
てか"近侍"って何ていう意味だっけ?
『こんのすけ、近侍って何だっけ?』
「はい、近侍とは主君の傍に仕える方の事を言います」
『へぇーそれって必要なの?』
「それは各本丸によって異なると思いますが、主様の場合無理をなさっていないか監視してもらうため、いた方が良いかと」
主を監視って…
『でも動ける人達には当番の方をしてもらいたいんだよなぁ』
「確かに当番も大事だが、いざと言う時に近侍はいた方が良いんじゃないかな?」
『そう、だね。じゃあ誰か近侍をやっても良いよって人』
一斉に上がる手。たぬきさんは御手杵さんに手を上げさせられていたが……
近侍ってそんなに人気があるものなのか?
仕方ないのでじゃん拳で決めてもらう事にしたが、驚く事に皆じゃん拳と言うもの知らないらしくサラッと説明をした。
『ってな感じで、はい!じゃん拳、ポン!』
薬研圧勝。
と言うことで近侍は薬研、他の人は洗濯、畑、馬当番に上手く別れてもらい行動開始。