第2章 おはなし
「はぁ…心配しすぎだろ。次からは自分の体調位、管理できるだろ」
そう言うと、たぬきさんは此方を見た。
はい!と答えようとしたが、私は驚いてそれを止めた。
「熱もねぇみてぇだし、肌も血色がある」
たぬきさんが私の額に触れ、滑るようにして頬に手を添えた。たぬきさんの綺麗な金色の瞳と目が合う。
「大丈夫だろ。んで、俺は何をすればって、何だよ」
厨にいる人達の視線がたぬきさんへと集まる。ついでに私の顔にも熱が集まり始める。
『う、わ、私は何を手伝えば良いですか?!』
「じゃあ、野菜切るのをお願いしても良いかい?」
『はい!お任せ下さい!』
注目から逃れるように、歌仙さんからエプロンを受け取り装着する。手を洗うと、歌仙さんに任された野菜をリズム良く切っていく。
「主が働いているんだ。俺達も手を休めるな!」
長谷部が渇を入れ、皆は再び料理に取り掛った。
下準備を終えると、次は調理に取り掛かる。
今日の朝餉はお味噌汁とおにぎり、お漬物。作り終えた料理は、冷めない内にとお盆に乗せ運んでいく。
長谷部さんがこれは左文字の部屋、これは粟田口の部屋と指示を出している。
『歌仙さん、皆さん一緒に食べないんですか?』
「そうしたいのだけど、この本丸には動けない者が多くてね。動けるものがこうして料理を作り部屋に運ぶんだ」
『そうなんですか…』
チクリと胸が痛んだ。今こうしている間にも、傷ついた刀剣達は苦しんでいる。
「主様そう気を病まず、今は腹ごしらえを致しましょう」
『そうだね』
背後からのこんのすけを見ると、当のこんのすけは味見をしていた。
このやろう、私はずっと我慢してたのに。
「さぁ、僕達も食べようか」
歌仙さんが料理の乗ったお盆を持ち笑いかけた。
……よしっ、やっとご飯が食べれるー!!
歌仙さんの後について行くと、大広間についた。既に一緒に朝餉を作ったメンバーが座って待っていた。