第2章 おはなし
その後、私の希望で私達は浴場に向かった。
風呂から出た後は、朝餉(朝食という意味らしい)だ。
『広っ!!』
浴場に着くとあまりの広さに、私は驚きの声を上げた。
「大所帯ですので」
それに対し、こんのすけはクールだった。
折角だからこんのすけも一緒に入ろう、と誘ったのだが断られてしまった。
一人、貸し切り風呂を堪能した後は、まだ仕事着が無いらしいので、持参してきた高校で着ていたジャージに着替えた。
『お待たせー』
脱衣室の外で待っていたこんのすけに声をかける。
「お早いですねー!もっとごゆっくりして頂いてもよろしかったのに」
『いーの。こんのすけ待たせてたし』
「主様…では一度、お部屋に戻りましょうか」
『うん』
こんのすけにコクンと頷き返す。
着替える前に着ていた制服を一度部屋に置きに行くためだ。
私達はまた静かな廊下を歩き、自室の襖を開ける。
「お早う御座います。主。御待ちしておりました」
と、告げたのは淡い青紫の瞳で頭に包帯を巻く男性。
『うゎっ!!おはよう、ございます』
ビックリした…って、この人怪我してる。
『えーと、会って直ぐで申し訳ないですけど、手入れ部屋行きませんか?』
そう申し出ると、相手は何故か驚いたように目を見開いた。
「心遣い感謝致します。ですが、これは、大した傷では無いので心配無用です」
そう言って、微笑んだ。
ふと、自分が警戒されてないことに疑問が浮かぶ。
「主様、如何されますか?」
『え、あ、あぁ。手入れ部屋に行きましょう。傷は傷なので』
「ですが、貴方は病み上がりですし」
今度は私の心配をしてくれた。
私は前の主と同じ"審神者"なのに。
『大丈夫です。確か、神力って寝たら回復するって言ってたよね?』
「はい。多少の個人差はありますが」
『だそうです』
行きますか、と立ち上がりハンガーはないかと押し入れに手を掛ける。