第1章 アフロのカットは職人技
町に出て、見慣れた道をブラブラと歩いていく。
姉さんがいつも通っているルートは分かってるから、この道を歩いていればきっと会えるはずだ。
数分も歩いていると、思った通り道の向こうの方から姉さんが歩いてくるのが見えた。
「あっ、姉さーん!」
俺は嬉しくなって年甲斐もなく走り初めてしまった。
姉さんの方も俺達の姿に気づいたみたいで、ブンブンと手を振り返してくれる。
あぁ、1ヶ月ぶりの姉さんだ!あの笑顔を見ると、不思議と心がホッとするんでさァ。
早く近くに行って、花のような姉さんの香りをかぎたい。頭を優しく撫でてもらいたい。
俺はやっぱり姉さんを前にすると、てんでダメになっちまう。武州に残してきた姉上の事を思い出して、どうしても甘えたくなっちまう。
あともう少しで姉さんのもとまで到着する、というところで突然横から何かが飛んでくるのが目に入った。
「ほわちゃああぁ!に近づくんじゃねーヨ!ドSが移っちまうダローガ!」
弾丸のように飛んできたのは、チャイナ娘だった。
「なんでぃ、テメーは。俺と姉さんの時間を邪魔すんじゃねーよ」
繰り出された飛び蹴りをヒョイとかわす。
小柄な体格の割に、その一撃には驚くような威力がある。さすがは伝説の傭兵部族の末裔ってところか。
だが、俺の敵じゃねーや。