第1章 アフロのカットは職人技
次々と浴びせられる攻撃をかわしていると、後ろからぼんやりとした声が聞こえてきた。
「はいはーい、と話したい奴はまず俺に許可を取るよーに。総悟くん、君は不合格。さっさと家に帰って毛根を全部死滅させとくこと」
チャイナに続いて姿を見せたのは、万事屋の旦那だった。隣には二足歩行のメガネもいやがる。
「おいいいィィ!!二足歩行のメガネってなんだああァ!!二足歩行してんの人間の方だから!メガネは歩かねーから!」
「人の心の中まで勝手に読んで突っ込むんじゃねーや。職業病ですかメガネコノヤロー」
「なっ、なんだとおおォォ!!」
そんなやり取りをしているうちに、いつの間にか万事屋の旦那が終兄さんに絡んでいた。
「はい、斉藤も不合格~。そのもっさりヘアーを何とかしてきなさい。ポマードとか塗って落ち着かせときなさい」
『そ、そんな!万事屋さん、どうかお慈悲を』
「終兄さん、ホントに旦那の許可取る必要ねーですから!」
わざわざスケッチブックに筆談して真面目にお伺いを立てていた終兄さんに、さすがの俺も驚く。
だけどこのお人はバカな訳じゃねぇ。ただバカがつくほど純粋なだけなんでさぁ。