第1章 アフロのカットは職人技
姉さんの一言ですっかり毒気を抜かれた二人は、仲良く真選組屯所の庭に並んで座ったのだった。
てるてる坊主みたいになって座る大の男二人。後ろからは姉さんがハサミを持って腕まくりをしている。
「さーて、これは大仕事だ!」
そう言った姉さんはこの上なく楽しそうな顔をしていたのだった。
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月に一度の散髪も終わり、先程までワイワイと賑やかに話していた隊士達は、一人また一人と各々の仕事に戻って行く。
万事屋の旦那達も珍しく仕事があるとかで、名残惜しそうに帰っていったのだった。
力無く歩いて行く旦那の後ろ姿をまじまじと見ると、ひどい天然パーマであるにも関わらず、その髪が絶妙なバランスで上手く整えられているのが分かった。
あちこちに跳び跳ねている髪を、いつもどうやってセットしているのかと不思議に思っていたが、そうかこういう事だったのか。これで得心がいった。
姉さんが切っていたのなら当然だ。さすがの腕前でさァ。