第1章 アフロのカットは職人技
いつの間にか姉さんは、俺たちの隣に立ってニコニコと笑っていた。
「あらー、みんな知り合いだったの?仲良いんだね~」
「姉さん、こーいうのは仲良しって言いません。犬猿の仲って言うんですぜ」
チャイナがグイグイと拳で頬を押してくるので、俺も負けじとチャイナの頬を押し返しながら言った。
「ふふっ、やっぱり仲良しじゃない」
そう言って嬉しそうに笑顔を浮かべるのを見たら、何だかもうそれでいいと思っちまった。やっぱり姉さんには敵わねぇや。
「ところで、姉さんこそ、こいつらと知り合いなんですかィ?」
「うん。銀さん達は常連さんでね。特に銀さんなんかは結構頻繁に来てくれてるんだ」
「へェー。もしかして、前に言ってた天パのお客さんって、旦那のことですかィ?」
「そうそう!よく分かったね総悟くん。ところで、二人は見回り中なの?」
俺と終兄さんを見て、姉さんは首を傾げる。
それに対して、終兄さんがフルフルと首を横に振ると、パッと姉さんの表情は明るくなった。
「え、私の事を迎えに来てくれたの?ありがとう!」
相変わらずびっくりするような以心伝心ぶりだ。
俺には終兄さんが今何かを言ったとは到底思えねェんだが、姉さんにはしっかりと伝わっているらしい。