第8章 一難去ってまた一難
とにかく二人を会わせるわけにはいかない。裕香を私の部屋に留めておくか、ソルを誘導するか…
「どうしたの?固まってるけど?」
『え?あ、あー、何でもないよ!』
まずい、裕香にも不審がられている。とりあえず今までと同じようにリビングに通す。
リビングに通してしまったらもうソルをどうにかするしかない。
『じゃあ、座ってて。飲み物取ってくるから。』
「ありがとー!」
私は冷蔵庫に向かったと見せかけて、お風呂場へ向かう。
ソルには早く出てもらって、部屋に戻らせないと。
部屋にいてもらえばこっちのものだ。おそらく1時間程度で帰るはずだから、その間我慢してもらわなければ。
私は風呂場に来ると、中にいるソルにできるだけ小声で話しかける。
『ソル?ちょっと友達が来ちゃったから急いで出てくれる?それで友達が帰るまで部屋にいて欲しいんだけど。』
………
私が話しかけても何も聞こえない。声どころか水の音さえも。嫌な予感がしてお風呂の扉の脇に置いてあるカゴを見て、私は絶句した。タオルや寝巻きとして置いておいたスウェットが無くなっている。
『…ってことは!?』
バンッ
勢いよくお風呂の扉を開けると、ついさっきまでここにいたであろうソルの姿は無くなっていた。