第5章 VSストーカー
「じゃあ、さよならだね。耀ちゃん…。」
『はい。では、さようなら。』
私がストーカーに別れの挨拶を告げたその時だった。
「じゃあ、あっちでまた会おうね…?」
!?!?!?
男はポケットからナイフを取り出し、こちらに向けていた。
『何を…?』
「君を殺して僕も死ぬ。そうすれば僕らは永遠にあっちで一緒に暮らせるだろ?」
狂ってる。
最初から思ってたけど、この人本当にやばい人だった。
王子(仮)が現れた事で治まっていた鳥肌が再び全身を覆う。
どうしよう。このままじゃ私死ぬじゃん。しかも、王子(仮)も下手したら死んじゃう…どうすればいいの…
「そんなもんで俺の彼女に傷つける気か?」
私が1人思考を巡らせてる最中に聞こえたのは、後ろからの王子の(仮)の声だった。そして王子(仮)は私とストーカーの間に入る。
「君の彼女かどうかなんて知らない!耀ちゃんは僕のものだ!」
ちっげーよ!!!
心の中でしか叫べない私が不甲斐ない。
「耀がお前のものねえ…勝手に言ってればいいけどな。」
「お前が邪魔するなら、お前も殺す!!」
ストーカーは鬼のような剣幕で王子(仮)に近付く。
だめだ。こんなの、こんなのだめだ!私のせいで誰かが傷つくなんて…私のせいで誰かが死ぬなんてもうごめんなんだ!
そう思った私の体は、自分が思うよりも早く動いて
そして、ストーカーと王子(仮)の間に割って入っていた。