第5章 VSストーカー
ここまで来たらもう後戻りはできない。覚悟を決め、作戦を実行する。
『私には彼氏がいるんです。結婚したいって思えるくらいの。だからあなたとは関わる気がないんです。』
効果はあるのか。それだけが不安だった。
今まで散々ストーキングしてきて彼氏などいないことをわかっているはず。嘘だと見抜かれる可能性を考えてできなかった。周りの人も巻き込みたくないから相談もできず、ストーカーを無視し続けてきた。それ故に相手のネジのぶっ飛び具合を把握出来なかった私は、この言葉が相手にどれだけ刺さるのかわからなかった。
……………
しばらく沈黙が続く。
だが、ストーカーの顔から笑みは消え、次第に暗くなっていった。
もしかしたらこの一言だけでストーカーを撃退することができるかもしれない。
次の瞬間、その期待は消え去った。