第5章 シガンシナ陥落〜トロスト区攻防戦
「来たぞ……!」
「調査兵団だ!主力部隊だ……!!」
「エルヴィン団長……!巨人供を蹴散らして下さいっ!!」
5年前のシガンシナ陥落の一件を機にキース・シャーディスは団長という座を辞任し、代わりにキースの補佐役、分隊長を担っていたエルヴィン・スミスが新たに団長の座を後任する事となった。
その間にも、主力部隊として分隊長を務めていた有能な者達が次々と巨人の犠牲となり、今ではミケ、ハンジ、そしてあのリヴァイが主力として活躍していた。
「見ろ……っ!リヴァイ兵士長だ……!」
入団の時から他の兵士と比べて、際立った驚異の戦闘能力を持っていた彼女は即戦力として多くの人々にその能力を買われ、その成績から兵士長という座に昇格し、人々の間ではリヴァイ兵長と呼ばれた。
その多くの者はリヴァイを尊敬や羨望の眼差しで見ていた。
「1人で一個旅団並の戦力があるってよ!」
そんな声を聞いたリヴァイは不機嫌そうな顔をする。
『チッ……、うるせぇな』
注目の的になるのが嫌いなリヴァイにとっては住民達のそれは鬱陶しいものでしかなかった。
5年前とは大違いだな……、
それ程あのシガンシナ陥落での出来事が大きかったという事だろうが……。
今まで蔑まされてきた調査兵団だったが、今では唯一巨人に対抗出来る戦力として期待されている。
「皆んなの羨望の眼差しも、貴方の潔癖すぎる性格を知れば幻滅するだろうね」
『フンッ……』
勝手に幻滅したけりゃすればいい。
私は元からそんな賞賛されるような人間じゃねぇ。