第5章 シガンシナ陥落〜トロスト区攻防戦
1人の兵士はその身体を巨人によって蝕まれようとも、闘志の炎を消す事はなかった。
「今に……、見てろよ……。お前らなんか今に……ッ!人類が滅ぼす……ッ!最後に生き残るのは……、人類だァッ!!」
そう叫んで巨人の口元に剣を突き立てる。
しかし、その一撃は巨人にとって蟻に噛まれた程度の事でしかなかった。
「ぐああぁッ……!!」
更に巨人が噛む力を強めてその兵士の身体は音を立てて軋み、血飛沫が舞った。
「お前らなんか……ッ!きっと……!……ッ、リヴァイ兵長がッ……!!」
その瞬間、巨人の背後を一瞬でアンカーが通り過ぎ、壁に突き刺さる。
そして瞬く間に巨人の頸は削がれ、その兵士は巨人の口から解放された。
『(右に1体、左に2体……)』
「兵長……!増援を集めて来ました!」
『ペトラ、お前は下の兵士を介護しろ。残りの全員は右を支援しろ。私は左を片付ける』
「へ……、兵長……っ!!」
戸惑うペトラを後に、直ぐ様リヴァイは目標の巨人へと向かう。
『(揃いも揃って……)面白れぇツラしやがって……、フッ……!!』
近くの建物にアンカーを刺し、右側から回って巨人の頸を削ぐ。
続いてもう1体の巨人へ使い捨てる刃を投げつける。
『フンッ……!!』
それは巨人の目を抉り、目潰しの役割を果たした。
ガアアァッ……!!
『おっと、大人しくしてろ……。そうしないとお前の肉を……、綺麗に削げねぇだろうが』
リヴァイは一旦後ろへ飛び、勢いをつけて巨人の頸を削いだ。
『チッ……、汚ねぇな』
リヴァイは巨人の血に汚れた自分の手と剣を見てそう呟いた。
時間が経てば巨人の血は蒸発して消えるが、リヴァイの過度な潔癖症はそれでも許せなかった。
これが終わったら直ぐにでもシャワーを浴びてぇな……。