第4章 最後の希望 (閑話)
「エルヴィン、お前に凶報がある……」
「……、キース団長それは一体……「ロドリー・ガナードが強盗に殺された」」
これは俺の父の時と必ず何か関係があると確信した。
「いや、ロドリー氏だけではない。ガナード家に仕えていた使用人達も皆殺しにされていた。全員首に刃物のような物で切られた痕がついていた」
「……、」
ロドリー氏も俺の父と同じ様に口封じの為に殺されたのだ。
だが一体誰が……?
「ただ、リゲル・ガナード、ガナード卿の遺体だけは見つからなかったそうだ。憲兵団の間では失踪したと言われているが、もしかしたら彼1人だけ逃げ切れたのかそれとも違う場所で殺されてしまったか……」
「ガナード卿……、」
何故ガナード卿だけが失踪している?
彼1人だけ逃げ切れたと……?
それとも逃げ切れずに途中で殺されたか……
いや、あの時……、
「キース団長、一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「何だ、エルヴィン」
「あの時私が席を立った後ガナード卿は何をしていましたか」
「ガナード卿か?そうだな……、確かお前が席を立ってしばらくした後にガナード卿も席を立っていたな……。その後にお前達が随分と話し込んでいる様だから先に帰る様にとガナード卿に言われたが、」
「……!そうですか。ありがとうございます」
「……、ガナード家の事は実に残念だった……。話はそれだけだ。後は戻っていい」
「えぇ……。では失礼します」
ガタン、とドアを閉める。
「……、」
もしかしたら、あの時俺達の会話をガナード卿は聞いていたのかもしれない。
そして本の話を俺に話してしまったロドリー氏を口封じの為に殺した、という事か。
結局その話を聞くことは出来なかったが、それ程重要な秘密だったのだということはもう分かった。
「俺は必ず証明してみせる、"父の仮説"を」
エルヴィンは拳を固く握り締め心にそう誓った。
ー 最後の希望 Fin ー