第4章 最後の希望 (閑話)
「……、ところで君はあのカクテルの意味を分かっててリヴァイに出したのかね」
「……、そうですよ。貴方でも知っていたんですね、酒言葉」
「昔、似たような事を」
「それは初恋の女性に、ですか……。……、まぁその通りですよ。彼女は……、リヴァイさんは僕にとっての"最後の希望"ですから。貴方にとってもそうでしょう?」
「あぁ……、」
ロドリーは倒れた椅子を元に戻し、腰をかける。
そんなロドリーの前にエルヴィンは歩み寄った。
「ロドリー氏、私は君の願いをいつか必ず果たしてみせよう。それがいつになるか、もしかしたらそれが叶う頃には君も私もこの世には居ないかもしれない……。だが、どれ程の長い年月になろうとも、いつか必ず成し遂げてみせると此処に誓おう」
エルヴィンは強い眼差しでロドリーに向かって心臓を捧げる敬礼をする。
「……、貴方がそう言うと出来ると確信してしまいそうですよ……。いえ、出来ると信じています、スミス団長」
「団長……?」
「いえ、ただの戯言ですよ。ただ、貴方なら人類の主導者になれると、そう思っただけですよ。あまりお気になさらず」
ロドリーは椅子から立ち上がるとドアへと向かう。
「ではそろそろお開きとしましょう。私はシャーディス殿達に先に帰って頂くようお伝えしてきます」
「……ロドリー氏、最後に一つだけ君に話がある」
「……?」
ドアノブにかけていた手を止め、ロドリーは振り返る。
「君の話していた本の事なんだが、その本はあの時燃やしてしまったと言っていたね?その内容を覚えているかい」
「はい……。ですが、その頃の僕は幼かったので全てを覚えているわけではないです。それでもよろしければお話しますよ」
「それで良い。差し支えなければ明日の正午にまた此処に伺いたいが……」
「いえ、それなら僕がそちらの方へ向かいますよ。やはりリヴァイさんにも謝りたいですし……。リヴァイさんの体調を考えて明後日の正午ではどうでしょう」
「そうか。ではそれでお願いする」
「分かりました。ではまた明後日に、」
そう言うとロドリーは部屋を出て行った。