第2章 悔いなき選択 (前編)
突然、ドン……!と扉を叩かれる。
「……っ⁈」
あの商人の奴らに私達の居場所がバレたのか……?
私とファーランはナイフを手に持ち、扉を警戒しながら近づいていく。
いつでもそれを振るえるように、ナイフを構えファーランがドアノブに手をかける。
互いに目を合わせ、私は頷き合図を送った。
バンッ……!と大きな音を立てて扉が開くと「うおわぁっ!」と情けない声を上げ、見知らぬガキが倒れ込んできた。
「いっ……つぇ……、」
「何だ、ガキか。脅かしてくれるよ……」
「ガキじゃ……、ねぇ。ガキじゃ……、ねぇッ!」
『……、』
驚くことに、そのガキは他の奴らとは違う、強い意志を持った目をしていた。
『そうか、じゃあ追い出しても後味悪くねぇな。床を汚した事は大目に見てやる……。今すぐ出て行け』
「何だ、動けないのか?」
「動けるよッ!甘く見んな……!」
少女は変な体勢から自力で立ち上がろうとする。
「気の強い子だなぁ……。」
ファーランは呆れたように呟く。
"おい、こっちだ!!"
「……っ!」
突然外で誰かがそう叫んだ。
少女はその声に反応してすぐ様立ち上がろうとするが、立ち上がれずに倒れこんでしまった。
このガキが一体何を仕出かしたのかは知らねぇが、コイツはこの声の主に追われているらしい。
『チッ……、テメェ追われてんのか』
「どうする……?」
完全に、厄介ごとに巻き込まれたな……。
チッ……、面倒くせぇ。