第2章 悔いなき選択 (前編)
「クソッ……!あのガキ、思いっきり噛みつきやがって……! 捕まえたら1番に俺に楽しませろよ!」
「あんなガキ、楽しむもクソもねぇよお!」
1人の男が卑しい顔で汚い笑い声をあげる。
「ヒヒヒ…………、あぁ"?おい……!此処に小汚ねぇガキが来たろ⁈」
振り向いたその男は私達がいる事に気付き、声をかけてくる。
「此処らへんはそんなのばっかりだよ」
「あ"ぁ?チッ……、テメェらこの辺のゴロツキかぁ?」
「どっちが」
ファーランは蔑んだ瞳で男達を見下ろす。
やっぱり、この地下街にはコイツらの様な品性のかけらも無い小汚ねぇ奴が多いな。
「おい……、居たぜ。そいつの仲間か?」
「いや?」
「じゃあ、そいつを渡してもらおうか。匿っても損するだけだぜ?何しろ、あの11号階段をタダで通ろうとしたんだからな!」
『……!』
「知ってるだろ、11号階段といや議員のロヴォフさん肝いりの公認階段だ。此処をタダ抜けとなると、未遂でも見過ごせねぇんだよ」
「当然、匿ったお前らも同罪だ」
「……ッ⁈」
少女は男が言った"同罪"という言葉に反応する。
「分かったらさっさと渡せ!」
「もういい、そこどけぇ!!」
1人の男が汚い笑いを上げながら私達の間を通ろうとする。
そしてその際に男はリヴァイの肩に手を置く。
その瞬間、
ザシュッ……!!
空気を裂き、肉を刃物で切り裂く音が響き渡る。
そしてその直後には、男の鮮血が宙を舞っていた。
リヴァイは自分の肩に手を置いたその男の手を持っていたナイフで切り裂いたのだ。
「がッ……⁈ぐうぅぅう……、」
男は切られた左手を抑え呻き声を上げる。
クソ野郎が、その汚ねぇ手で私に触るんじゃねぇ。
テメェの所為で壁も床も掃除が大変じゃねぇか……。
追い討ちをかけるようにその男をリヴァイは数回殴りつける。
そして胸倉を掴む。
『汚ねぇ手で触るな。汚れちまうだろうが』