第4章 最後の希望 (閑話)
規則正しい呼吸で眠りについた彼女を見下ろす。
俺は驚いていた。
最初は少しの同情から気のせいだと思っていたが、そうではなかったのだと他人に気づかされてしまった。
今回の事で、俺は彼女への気持ちに気づいてしまったのだ。
それと気になる事が一つ。
もしかしたらロドリー氏の話と俺の父の言っていた事が何か繋がりや関係があるかもしれないという可能性だ。
「私は……、
花だと思う。"荒地に咲く一輪の花"だ」
「花……?」
ロドリーは分からない、というような顔をしていた。
「彼女は咲く場所を選べず、荒れた大地に咲いてしまった哀れな花だ。だが、その花は見る人々の心を癒し、勇気を与え、生きる希望さえも与える。これ程に絶望的な状況でさえも堂々と咲き誇り、美しさも色褪せない孤高の花だ」
「花……、ねぇ……」
ロドリーはそう言ったエルヴィンを見てから何かを悟ったように笑みを浮かべる。
「スミスさんって見た目に反して結構ロマンチストなんだね……。もしかして、スミスさんあれだけ熱烈に人類の為に、って説いてたけど……、本当は他にも理由があるんじゃないのかい?」
「他の……、理由……?」
「そう、他の理由。だってスミスさん、あの時"男の表情"をしていたからね」
「……!」
すると、ロドリーはお腹を抱えて狂ったように笑い始めた。
「あははははっ……!!うそでしょ……!!気づいてなかったなんて……っ!」
「俺はそんな顔をしていたか……?」
「すっごくしてたよ!もしかして、スミスさんってモテそうだし恋愛経験豊富そうなのにその手には疎い感じなのかい……?」
「過去に一度しか女性を慕っていた事はない」
「へぇ……。じゃあ、リヴァイさんは2度目の恋愛って事なのか……。まぁ、いいや。そんなスミスさんを僕は応援するよ」
「俺を応援……?何を応援すると……?」