第4章 最後の希望 (閑話)
『私はあの時……、』
「あぁ、未遂だ……。間に合ったようで良かったよ。ロドリー氏とはもう話をつけた。君を諦めると……、」
『そうか……。それで、テメェはあの時……』
リヴァイが言葉を濁しながら言うと、エルヴィンはリヴァイから目を逸らした。
「見てない、と言ったら嘘になるな……。いや、大嘘になる。あの後、君の介護をしたのは俺だからな……、だが、」
エルヴィンはもう一度リヴァイと目を合わせると、スカイブルーの瞳が光った。
「君が大事に至らなくて本当に良かったと思っている……。君は俺にとって何より大切な存在だからな……。兵士として、そして…………、
1人の女性としても」
『は……っ⁈』
突然のカミングアウトにリヴァイの思考は停止してしまった。
それ以降、エルヴィンは何も語らなかった。
私からも何かを話しかける余裕などなかった。
互いに無言のまま時間が過ぎていき、気づけば調査兵団の兵舎に着いていた。
「俺が君の部屋までついて行こうか?」
『いや、いい。1人で行ける』
そう言ってリヴァイが馬車から降りると、やはりフラついてしまった。
『……!』
「やはり、俺が送って行こう」
『は⁈何す……』
エルヴィンは無理をしてでも1人で戻ろうとするリヴァイを所謂"お姫様抱っこ"のような抱え方で運び出した。
『何で私がテメェにこんな屈辱を受けなきゃならねぇ……!降ろせっ!!』
「暴れられると流石の俺も運び辛い。大人しくしていてくれ」
エルヴィンはリヴァイの意見を無視して問答無用で運んでいった。
リヴァイは自分が暴れれば暴れるほどに頭痛が酷くなることに気づいて、もうどうにでもなれと諦める事にした。
『せめてこれを誰にも見られねぇように運べ』
「約束は出来ないが、努力はしよう」
その後、私はエルヴィンに無事自室へと運び込まれた。