第4章 最後の希望 (閑話)
「僕は正直羨ましかったんだと思う……、リヴァイさんの事が。あの人は自由の翼、その物だと思った。僕には無い、欲しかった何もかもを持っていたリヴァイさんが羨ましくて……。何より妬ましかった。でも、一目惚れしたっていうのは嘘じゃないんだ……」
「……、そうか。君にも生れながらの苦難があった事は同情しよう。だが、それがこの様な事をしていい理由にはならない」
エルヴィンは再び気を失っていたリヴァイのシャツのボタンを閉めていく。
「そうだね……、分かってるよ。本当に悪い事をした。謝って済む話ではないかもしれないけど……」
「謝るなら私ではなくリヴァイ本人に謝ってくれ」
「本当に貴方の言う通りだ……。本当はこんな事するつもりじゃなかったんだ。笑顔で見送るつもりだったんだ……。でも、この人がお酒に弱いなんて知らなくて……。酔って隙が出来たリヴァイさんを見たら思ってしまったんだ。僕の隣に居てくれないならいっそ……、二度と飛べない様に羽を踠いてしまおうと、」
エルヴィンはリヴァイが繋がれていたネクタイを外すと赤い跡が残った手首を見て目を細めた。
「君は……、リヴァイの事を"鳥"だと言っていたね」
「はい。何処までも自由に羽ばたいて行ける鳥だと」
「そうか……、私はリヴァイをそうは思わない」
「……、では何だと?」
「私は……、」
一定のリズムで体が揺られる感覚を感じる。
『……?』
目を醒ますと、私はどうやら馬車の中にいるようだった。
「気づいたか?」
声がする方へ顔を向けると、隣にはかなり近い距離にエルヴィンの顔があった。
『……ッ⁈』
リヴァイが驚いて距離を取ろうとすると、頭が激しく痛んだ。
「あまり動かない方がいい。今の君は2日酔いのようなものだからな……、辛いだろう」
そんなリヴァイを気遣うエルヴィンに何かいつもと違うものを感じた。